クルマ

環境性能割とは?対象になる車や税率の早見表、税額の計算方法を徹底解説!

更新

2024/06/24

公開

2021/03/10

  • Twitterで共有する
  • Facebookでシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

2019年10月1日の消費税増税に伴い、自動車取得税が廃止され、新たに環境性能割が導入されました。「環境に良い車を購入すると税金が安くなる」となんとなく知っているという方もいるかもしれません。

ここでは、これから車の買い替えを考えている方に知っておいていただきたい環境性能割、その対象となる車や税額の計算方法などをわかりやすく解説します。

目次

    1. 環境性能割とは?

    環境性能割とは、自動車を取得したときに自動車の燃費性能などに応じて課される税金のことです。正式には普通車が対象となるものは「自動車税環境性能割」、軽自動車が対象になるものを「軽自動車税環境性能割」といいます。

    環境性能割は、排出ガス基準や燃費基準の達成度などに応じて課税されます。燃費が良く排出ガスが少ないなど、環境性能が高い車ほど税率が低くなります。

    環境性能割の対象車・納税のタイミング

    環境性能割は個人・法人に関係なく、車を購入したときや譲り受けたときに課税されます。また、新車・中古車は問いません。新規登録・移転登録時に運輸支局または自動車検査登録事務所と同じ敷地内にある自動車税事務所などで納付します。

    環境性能割の対象となる車は以下の通りです。

    • 電気自動車
    • 燃料電池自動車
    • 天然ガス自動車
    • プラグインハイブリッド自動車
    • 2030年度燃費基準を達成しているガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む)
    • 2023年度12月31日までに取得し、一定の基準を満たしたクリーンディーゼル車

    対象となるのは三輪以上の小型自動車や普通自動車、およびバスやトラックです。二輪車や原動機付自転車は課税の対象外となっています。また、車の取得価額が50万円以下の場合や車を相続した場合などは、環境性能割は課税されません。取得価額とは、おおまかにいうと車を取得する際にかかった費用のことです。取得価額の計算方法は新車と中古車で変わってきます。詳しくは次の項で解説します。

    2. 環境性能割の計算方法

    環境性能割の税額は、原則として「車の取得価額×環境性能割の税率」で算出します。前述した通り、新車と中古車では取得価額の計算方法が異なります。中古車では経年劣化などを考慮し、使用された経過年数によって取得価額が変わるためです。それぞれの計算方法を解説します。

    新車の計算方法

    新車の環境性能割の税額は次の計算式で算出します。

    取得価額(課税標準基準額+自動車購入時につけたオプションの価格)×環境性能割の税率=環境性能割の税額

    「課税標準基準額」は車検証に記載された車種やグレードによって決まっています。目安としては車両本体価格の90%程度です。「自動車購入時のオプションの価格」は、カーナビやアルミホイールなど「車両と一体化したオプション」の価格のことです。フロアマットやチャイルドシートなど簡単に着脱できるものは取得価額に含まれません。

    中古車の計算方法

    中古車の環境性能割の税額は次の計算式で算出します。

    取得価額(課税標準基準額×残価率)×環境性能割の税率=環境性能割の税額

    「残価率」とは、新車登録時の車の価値を1として経過年数に応じて残っている価値を示すものです。残価率は総務省の中古車残価率表で定められています。たとえば、自家用乗用車の場合、耐用年数は6年とされており、経過1年で0.681、経過2年で0.464、経過6年で0.100と下がっていきます。自家用乗用車の残価率は以下の通りです。

    自家用乗用車の残価率

    経過年数 残価率
    1年 0.681
    1.5年 0.561
    2年 0.464
    2.5年 0.382
    3年 0.316
    3.5年 0.261
    4年 0.215
    4.5年 0.177
    5年 0.146
    5.5年 0.121
    6年 0.100
    出典
    「自動車取得税における通常の取引価額について」(総務省)

    なお、自家用乗用車の中古車の場合、一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会のホームページで環境性能割の税額の目安を検索することができます。参考にしてみるのも良いでしょう。

    おとなの自動車保険はこちら「自動車税環境性能割 税額検索サービス ※中古車」

    3. 環境性能割の税率

    環境性能割の税率は、自動車の燃費性能や車を取得した時期などに応じて、自家用乗用車は0~3%、営業用の乗用車と軽自動車は0~2%となっています。ここでは自家用乗用車の環境性能割の税率を紹介します。

    まず、電気自動車、燃料電池自動車、一定の基準を満たした天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車を2026年3月31日までに取得した場合は非課税です。一定の基準を満たしたクリーンディーゼル車も2023年12月31日までに取得した場合は非課税になります。電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車以外の自家用乗用車の税率は、取得した時期によって変わってきます。具体的には以下の通りです。

    環境性能割の税率(自家用乗用車)

    〜2023年12月31日までに取得した場合

    対象 税率
    ガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む) 2030年度基準85%達成 非課税
    2030年度基準75%達成 1%
    2030年度基準65%達成 2%
    2030年度基準60%達成 2%
    上記以外 3%

    2024年1月1日〜2025年3月31日までに取得した場合

    対象 税率
    ガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む) 2030年度基準85%達成 非課税
    2030年度基準80%達成 1%
    2030年度基準70%達成 2%
    2030年度基準60%達成 3%

    上記以外
    3%

    2025年4月1日〜2026年3月31日までに取得した場合

    対象 税率
    ガソリン車・LPG車(ハイブリッド車を含む) 2030年度基準95%達成 非課税
    2030年度基準90%達成 1%
    2030年度基準85%達成 1%
    2030年度基準80%達成 2%
    2030年度基準75%達成 2%
    2030年度基準70%達成 3%
    上記以外 3%

    軽減対象は2020年度燃費基準達成車両に限る

    出典
    「環境性能割の概要」(国土交通省)

    4. ASV(先進安全自動車)とバリアフリー車両は減税の特例措置がある

    安全運転を支援する「先進安全装置」の搭載、バリアフリー対応など、基準を満たしたトラック・バスなどは、ASV(先進安全自動車)減税やバリアフリー車両減税の対象になります。これは自動車税環境性能割・自動車重量税が減税となる税制特例措置で、環境性能割の場合、取得価額から一定の控除を受けることができます。自動車税環境性能割、自動車重量税ともに、新車新規登録時に限り適用されます。

    自動車税環境性能割の減税対象となる車両の要件や特例措置の内容は次の通りです。

    ASV減税(自動車税環境性能割)

    対象車両 取得期間 取得価額からの控除額
    衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)搭載車両(AEBS) 乗車定員10人以上で立席のないバスなど 2025年3月31日まで 175万円
    3.5t超〜8t以下のトラック(被けん引車を除く) 2025年3月31日まで
    175万円
    衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き) 8t超のトラック(被けん引車を除く) 2024年4月30日まで 350万円
    側方衝突警報装置搭載車両 8t超のトラック(被けん引車を除く) 2024年4月30日まで 175万円

    バリアフリー車両減税(自動車税環境性能割)

    対象車両 取得期間 取得価額からの控除額
    ノンステップバス ※1 2025年3月31日まで 1,000万円
    リフト付きバス ※1
    • 乗車定員30人以上
      (空港アクセスバスに限る):800万円
    • 乗車定員30人以上:650万円
    • 乗車定員30人未満:200万円
    ユニバーサルデザインタクシー
    (一般乗用旅客自動車運送事業者が路線定期運行のために導入するものに限る)
    100万円

    ※1一般乗合旅客自動車運送事業者が路線定期運行のために導入するもの、または一般貸切旅客自動車運送事業者がその事業のために導入するものに限る。

    空港アクセスバスは一般乗合のものに限る。

    対象となる車両がバリアフリー減税とASV減税両方の対象でもある場合は、いずれかを申告者が選択可能。また、燃費性能に応じて軽減された税率とASV減税は両方適用される。

    出典
    「自動車税環境性能割」(東京都主税局ホームページ)
    出典
    「ノンステップバスやUDタクシー等のバリアフリー車両に係る特例措置」(国土交通省)

    衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き)とは?

    カメラやレーダーによって前方の自動車や歩行者を検知し、追突する危険があるときは音や警告灯でドライバーに注意喚起します。それでもブレーキ操作がなく、追突を避けられないときには自動的にブレーキが作動するシステムです。

    側方衝突警報装置(BSIS)は左側の自転車などを検知・警告し、左折時の巻き込み事故を予防するシステムです。側方衝突警報装置に関する特例措置は2024年4月30日までで終了しています。

    5.監修コメント

    環境に優しい自動車に対する税制面の優遇措置には「エコカー減税」「グリーン化特例」「環境性能割」があります。

    エコカー減税は自動車重量税を軽減する特例措置で、グリーン化特例は自動車税が優遇されるのに対し、環境性能割は従来の自動車取得税に代わる税となります。それぞれ対象となる燃費基準達成度や期間が異なります。
    いずれの制度も適用期間の終了が迫ってくると、延長されたり、税率が変更になったりすることがあります。自動車の購入を考える際は、それぞれの優遇措置の適用期間もチェックするとよいでしょう。

    おとなの自動車保険はこちら

    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

    • Twitterで共有する
    • Facebookでシェアする
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • LINEで送る