クルマ

車の買い替えを検討するなら必見! 廃止された自動車取得税の代わりとなる環境性能割とは?

更新

2021/03/10

公開

2021/03/10

  • Twitterで共有する
  • Facebookでシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

2019年10月1日の消費税増税に伴い、車の税制度は大きく変わりました。最も大きなトピックは、自動車取得税が廃止され、新たに環境性能割が導入されたことです。またその他にも、税金にまつわる細かい制度が変更されています。

ここでは、これから車の買い替えを考えている方に知っておいていただきたい環境性能割、および税制の変更点について解説します。

目次

    1. 廃止された自動車取得税とは?

    2019年10月1日より、旧・自動車取得税に代わる新しい税制として「環境性能割」が導入されました。

    それまでの自動車取得税は、車の購入や譲渡によって取得した際の金額に応じて課税されていました。具体的な課税額は、自動車の取得価額に対して自家用普通車で3%、営業用普通車および軽自動車では2%であり、50万円超の車を購入した際や譲り受けた場合が対象となっていました。

    一方、新たに導入された環境性能割は、自動車取得税とほぼ同様の課税要件ながら車の環境性能に応じて0〜3%までの間で税率区分が設けられているのが特徴です。

    自動車税・軽自動車税については下記の記事でも詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

    関連記事
    自動車税種別割・軽自動車税種別割とは?いつ払う?排気量別の税額や節約のポイントについて解説

    2. 自動車取得税が廃止された背景

    自動車取得税と車両購入時にかかる消費税は、以前から二重課税として問題視されていました。それに加えてさらに消費税が増税されると、「人々の車の購買意欲が削がれるのではないか」という懸念から、消費税が引き上げられた際には自動車取得税を引き下げ、10%に達した時点で廃止をすることが取り決められていました。事実、2014年4月1日から消費税が5%から8%へと引き上げられた際には、自動車取得税が5%から3%(軽自動車は3%から2%へ)へ減税されました。

    そして当初の取り決め通り、消費税が10%に引き上げられた2019年10月1日に自動車取得税は廃止され、車の環境性能に応じて取得価格に対して税率が変動する新しい税制「環境性能割」が設けられました。

    3. 代わりに導入された環境性能割とは?

    環境性能割は、旧自動車取得税と同様、三輪以上・50万円超の新車および中古車を購入、あるいは譲り受けた場合、自動車の取得価額に対して一定税率が課税されます。

    自動車取得税と異なるのは、車がもたらす環境負荷によって0〜3%まで税率が変動する点です。電気自動車やプラグインハイブリッド車などの環境負荷の低い車は非課税、環境性能に優れるガソリン車などの低公害車は燃費基準の達成度合いに応じて0〜3%まで変動します。また、営業用普通車や軽自動車の税率は0〜2%に設定され、非課税の対象となる燃費基準の達成度合いの範囲が乗用普通車に比べて拡大されています。表内の燃費基準達成車については後述します。

    燃費基準達成車とは?

    燃費基準達成車とは、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」に基づく燃費基準を達成した車です。各減税率は燃費基準達成度合いに応じて変化し、車両重量あたりの燃費性能が優れた車ほど高い減税率が適用されるようになっています。2013年3月に制定された2020年度燃費基準は、下表のように車体重量によって車ごとに細分化されています。

    4. 導入された目的と達成目標

    有害物質や二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を社会全体で減らし、大気汚染および地球温暖化を防止することが、環境性能割の一つのゴールです。日本では、2030年までに2013年度比で26%、温室効果ガスの排出量削減を目標に掲げています。
    その中で、次世代自動車の新車販売に占める割合を、2030年度には50~70%まで引き上げることを目標にしています。
    環境性能割が導入されたことで、安定した税収を確保しながら消費税増税に伴う家計への負担を抑え、より環境性能に優れた次世代自動車への買い替え促進が期待されています。

    5. 自動車取得税のほかにも税金の見直しが施された

    2019年10月1日の自動車取得税廃止と同時に、税額や税率軽減対象基準の見直しも図られています。自動車税は自動車税種別割と名称が変更され、2019年10月1日以降に新規登録を受けた自家用乗用車の税率が、排気量に応じて1,000〜4,500円の範囲で引き下げられました。

    また、エコカー減税による自動車重量税と、グリーン化特例措置による自動車税の税率軽減対象となる燃費基準値が引き上げられ、減税措置を受けるにはより高い環境性能が求められるようになりました。

    6. これからは環境にやさしい車が優遇される?

    環境性能割導入後は、環境に優しい車ほど税金面で優遇されるようになっています。これまでもエコカー減税やグリーン化特例措置によって環境負荷の少ない車は優遇されていましたが、環境性能割の導入と各種税金や対象環境基準の見直しにより、特に環境性能が高い電気自動車やプラグインハイブリッド車のようなCEV(クリーン・エネルギー・ビークル)およびNGV(ニュー・エネルギー・ビークル)と、そうでない車の格差が拡大しています。

    7. 監修者(税理士・FP 宮川真一)コメント

    二酸化炭素を排出しない脱炭素社会の実現は世界的な課題です。日本でも、世界との足並みを揃えるためにガソリン・ディーゼルエンジンなどの内燃機関車の新車販売をそう遠くない未来に禁止する動きがあります。

    環境性能割の導入は、消費税の増税による家計への負担を抑えつつ、より環境負荷の少ない車への乗り換えを促すものであり、EVシフトへのきっかけとも言える税制改正と言えるでしょう。

    環境性能に優れるEV(電気自動車)やプライグインハイブリッド車などのCEVは燃料代を大きく抑えることができる一方、現時点では価格の高さが大きなネックですが、CEV補助金制度が利用できるうちは比較的安価にCEVに乗り換えることもできます。今後車の買い替えを控えている方は、新税制と補助金を最大限に活用してCEVへの乗り換えも検討してみてはいかがでしょうか。

    監修:税理士・FP 宮川真一

    おとなの自動車保険の電気・ハイブリッド割引についてはこちら

    おとなの自動車保険はこちら

    • Twitterで共有する
    • Facebookでシェアする
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • LINEで送る