がん保険は入るべき?知っておきたい「がん保険」

「がんの治療はお金がかかるらしいけど、保険に加入すべきなの?」と悩んでいる方の中には、医療保険とがん保険の違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、現在のがん治療の状況やがん保険と医療保険の違い、選び方について解説していきます。

1.「がん」について

①がんになる人の割合

日本人が一生のうちにがんと診断される割合は、国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)の2018年データに基づく累積がん罹患リスクによると、男性65.0%/女性50.2%であり、男女ともに2人に1人といわれています。また、グラフの通り、がんにかかる割合は年齢とともに高くなる傾向にあります。

割合だけでいえば決して他人事ではなく、身近な病気といえるでしょう。

全国年齢階級別 がん罹患率
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)より作成

②入院日数と通院日数

近年のがん治療はめまぐるしく進歩しており、新たな治療法が開発されています。また、治療法も入院治療が主流ではなく、通院しながら薬物療法や放射線治療を受ける内容に代わってきています。
厚生労働省の調査結果にもあるように、定期的な通院治療は入院治療を大きく上回り、がんによる入院日数も短期化してきていることがわかります。

がん治療における受療率(人口10万人対) 平均入院日数 がん治療における受療率(人口10万人対) 平均入院日数
出典:厚生労働省「患者調査」より作成

③治療費

がんの治療に対しては、健康保険等が適用される内容と適用されない内容があります。

<適用される内容>
検査、診察、手術、入院代※1、薬代※1 入院中の食事代や差額ベッド代を除く。
<適用されない内容>
先進医療※2※2 先進的な医療技術等について、通常の保険診療との併用を厚生労働大臣が認めたもの。通常の検査や入院費については保険適用になるが、それ以外の先進医療の費用については患者さんが全額負担します。

がんの種類にもよりますが、入院した際の1日あたりの医療費は以下の通りです。

治療費 治療費
出典:
厚生労働省「令和元年 医療給付実態調査」より作成

上記の調査から最近のがん治療の大きなポイントとして、【治療は、入院よりも通院がメイン】【入院日数は短い可能性が高い】といえます。

また、医療技術の進歩により、がんが必ずしも「死に至る病気」ではなくなりました。
現に、2009年~2011年までの診断患者における5年相対生存率は64.1%※3となっています。これによりがんのリスクは「死亡」よりも「再発・転移」に変わってきています。

治療費は決して安くないため、万が一の際にお金の心配をせずに治療に専念できるように、保険でがんに備えることも検討してみてはいかがでしょうか?

※3 出典:全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)
独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書

2.がん保険とは?

現在のがん治療の傾向をご理解いただいたところで、次はがん保険と医療保険の違いについて見ていきましょう。

①医療保険との違い

医療保険との違いは大きく3つに分けられます。
それぞれの違いをご説明します。

保障範囲

がん保険とはがんに特化した保険で、がんの治療のために入院・手術、放射線を受けた場合などに充実した保障があります。医療保険は、がんのみならず、その他の疾病やケガまで幅広い範囲で保障されます。

保証範囲
(注)商品ごとに保障内容は異なります。

支払限度日数

医療保険の場合、1回の入院に対する支払限度日数が設けられている商品が多くあります。一方で、がん保険については支払日数無制限の商品が多く、入院した日数分の給付金が支給されるケースがほとんどです。
また、医療保険の場合、1入院の支払限度日数とは別に「通算支払限度日数」が設けられていることが多いですが、がん保険は無制限のため、ほとんどのケースで通算の縛りを受けることはありません。

支払限度日数

待機期間

がん保険は、一般的にご契約から一定の期間は保障対象外となります。この期間中に「がん」と診断されても保険金(給付金)などを受け取ることはできません。一方で医療保険には対象外となる期間がなく、保険料の払い込みが完了した時点から保障が開始されるものがほとんど※4です。
一般的な待機期間は90日ですが、保険会社によって日数が異なる場合もあります。また最近では待機期間のない商品が発売されているケースもありますので、加入時には必ずチェックしましょう。

※4 医療保険のなかでも「がん保障特約」や「三大疾病保障特約」には、待機期間が設けられているケースがあります。

②がんに備える保障の選び方

がんに備える方法としては、「医療保険とがん保険の両方に加入」「医療保険のみ加入」「がん保険のみ加入」といった選択肢があります。ご自身のライフプランや何を重点的に備えたいかによって変わってきますので、考え方の例をご紹介します。

医療保険と
がん保険
どちらも不安で、きちんとカバーできるようにしたい方
その分保険料は高額となるが、何かあった際にはしっかりとカバーが可能
医療保険だけ
どんな病気やケガでも入院・手術をした際に保障を希望する方
がん保険だけ
家系的にがんになる確率が高いなど、がんに対して特に不安が大きい方
がん以外の治療費は保障されないため注意が必要

がんの分野は医療技術の進歩が目覚ましく、10年前と今日では全く状況が異なるため、がん保険の内容も進化しています。ご自身が今不安に思っていることが保障できるかどうかきちんと確認して、加入を検討しましょう。