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雪道で安全に運転するコツを徹底解説!冬までに備えるべき便利アイテムも紹介

更新

2022/11/09

公開

2022/01/26

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雪道は通常の道路状態よりも危険性が増し、普段よりも慎重に運転する必要があります。しかし、運転に不慣れな方は、「どのような点に注意すれば良いのか分からない」と不安を感じているかもしれません。

そこで本記事では、「車で雪が多く降る地域にでかける予定が入ったけれど、安全に運転する自信がない」という方に向けて、運転のコツや、雪道や積雪の種類・状態別の注意点について解説します。さらに、用意しておくと便利なアイテムについても紹介します。

目次

    1.雪道での運転は危険

    雪道で起こりうる危険な現象

    雪道では、視界が見えづらくなったり、路面が凍結していたりと、様々な危険現象が発生します。

    まず気をつけたいのは、凍結している路面「アイスバーン」。以下のように「行き交う車の熱や気温の上昇で溶けた雪が再び凍結し、路面が滑りやすくなった状態」をさします。

    なお「アイスバーン」にはいくつか種類があります。

    路面にできた氷の膜が薄く、アスファルトの色が見えている状態を「ブラックアイスバーン」と言います。「ブラックアイスバーン」は、凍っていることがわかりづらく、濡れているだけの路面にしか見えません。油断してスピードを出してしまうこともあるため、注意が必要です。

    また、路面が凍って鏡のようになった状態を「ミラーバーン」と言います。凍結した路面がタイヤによって磨かれていくことで発生する現象で、発進や停止が頻繁に行われる交差点付近で起こりやすいです。

    そのほかに注意したいのは、「シャーベット状の積雪」がある路面。積もったばかりの雪よりも、溶けかかったシャーベット状の雪のほうが滑りやすく、タイヤと路面の間に水の膜ができ、車が浮いてしまう「ハイドロプレーニング現象」を起こす可能性があります。

    また、大雪と強風がある場合には、「ホワイトアウト」という現象が起きます。ホワイトアウトとは、以下のように「強風で舞い上がった雪によって視界が真っ白になった状態」のこと。視界が非常に悪くなるのが特徴です。

    これらが発生している状況では事故が起きるリスクが高まるので、通常よりも注意深く運転しなければなりません。

    雪道での交通事故発生件数

    公益財団法人交通事故分析センターの「交通事故統計表データ(令和3年版)」によると、令和3年(2021年1/1~12/31まで)の全国の積雪時の事故件数は3,556件(うち死亡事故は29件)でした。

    なお、国土技術政策総合研究所の研究資料によると、状況別の事故発生割合は「路面凍結が50%、積雪が10%」となっており、アイスバーンは特に危険であることが分かります。

    2.スタッドレスタイヤとタイヤチェーンどちらがいいの?

    雪道を走行するのに必要なスタッドレスタイヤとタイヤチェーン。ここでは、スタッドレスタイヤとタイヤチェーンそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

    スタッドレスタイヤのメリットとデメリット

    スタッドレスタイヤのメリットは、安定したグリップ力がある点。しっかりと路面をつかんでくれるため、雪道でも滑りづらくなります。また、都度装着しなければならないタイヤチェーンと異なり、一度装着すれば、いつでも雪道を走れるのもメリットです。

    デメリットとしては、交換費用がかかること。雪国に住んでいて装着に慣れているという方でない限り、お店に交換依頼をする方がほとんどでしょう。そのため、スタッドレスタイヤである冬用タイヤに交換するとき、そして夏用タイヤに交換するときなど、都度費用がかかってしまいます。また、タイヤの保管場所が必要になる点や、ノーマルタイヤに比べて燃費が悪く磨耗しやすい点もデメリットです。温かい路面や雨天下では、ノーマルタイヤよりコントロール性能が劣ることも心得ておく必要があります。

    タイヤチェーンのメリットとデメリット

    タイヤチェーンのメリットとしては、比較的安価なこと。タイヤのサイズにもよりますが、安いものであれば、2,000円台、3,000円台の商品もあります。また、登坂性能が高いのも魅力。勾配の急な雪道でも、スタッドレスタイヤよりスリップしにくいという利点があります。
    最近主流の非金属製タイヤチェーンには、金属製の突起を埋め込んでグリップ力を高めた商品もあります。チェーン規制に対応した布製タイヤチェーンも最近注目を集めています。

    デメリットとしては、自分で都度装着が必要な点。凍結している路面を走行するときには、自分で装着しなければなりません。また、網目状のチェーンをタイヤに装着して走行することになるので、特有の走行音や振動が発生します。スピードもそこまで出せないほか、慣れていないと運転が難しく、雪道以外の道では運転がしづらいのもデメリットです。
    布製のタイヤチェーンは金属製や非金属製よりも装着しやすく、乗り心地への影響が大きくありませんが、走行速度が制限される点は変わらないので注意が必要です。

    3.雪道を運転する前の確認事項

    天気予報をチェックしておく

    まず、雪が降りそうな場所を走行することになったら、天気予報は常にチェックしておくことが大切です。また、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表「チェーン規制」が発令される可能性がある場合は、2〜3日前に気象庁および国土交通省により通知があるので、情報にはアンテナを張っておくようにしましょう。

    時間に余裕をもって出発する

    雪道を走行する際には、ゆっくりとしたスピードで運転することが大切なため、通常より運転に時間がかかってしまいます。また雪道では、渋滞が発生することも少なくありません。そのため、いつもより運転時間が長くなると想定したうえで、予定を組むことが肝心です。

    幹線道路を中心に走行する

    降雪が予想されるルートを走行する場合は、幹線道路などの安全なルートを選ぶようにしましょう。また、雪が積もったばかりで他の車が走行していない道路は、歩道や側溝との境目がわかりづらく、溝にはまってしまうこともあります。雪が降っているときは、多くのドライバーが利用している幹線道路を走った方が、こうしたトラブルを防げるでしょう。

    ガソリンは満タンにしておく

    降雪があると、渋滞や事故などが発生しやすくなり、目的地に着くまでに通常より多くのガソリンが必要になることも。そのため、降雪の可能性がある場所を走行する際には、こまめに給油するようにしてください。事前にバッテリーの状態をチェックしておくことも重要です。

    ブレーキやアクセルを確認しておく

    雪道では、運転する際の感覚が普段の道路とは異なります。人が少ない場所で、アクセルやブレーキの具合を事前にチェックしておくと良いでしょう。また、ワイパーはしっかり動くか、フォグランプ・リアフォグランプは点灯するか等、車の全体的な動作の確認をするようにしてください。

    4.雪道で安全に運転するコツ

    スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを用意する

    雪道を走行する際には、あらかじめスタッドレスタイヤを装着しておくか、タイヤチェーンを用意しておきましょう。

    スタッドレスタイヤを装着する場合には、十分な滑り止め効果を得るために、4輪全てに装着します。一部の車輪のみに装着すると車両の挙動が安定せず、「曲がれない」「止まらない」という危険な状態になりかねません。

    また、「チェーン規制」が発令された区間を通る場合、スタッドレスタイヤを装着した車であっても、タイヤチェーンの装着が義務付けられます。そのため、チェーン規制対象区間を走る予定がある場合には、タイヤチェーンも用意しておきましょう。
    寒い中で時間をかけてタイヤチェーンを装着することには、大きな危険が伴います。現地でスムーズに作業ができるように、練習しておくとよいでしょう。

    車間距離を保って運転する

    制動距離(ブレーキがきき始めてから、車が完全に停止するまでの距離)が長くなるので、車間距離を広めにとることも心がけてください。また、減速する際には、いつもより早めにブレーキを踏むようにしましょう。

    急ブレーキ、急発進などに気を付ける

    雪道では「急」のつく操作は避けるのが基本。「急発進・急加速・急ハンドル・急ブレーキ」をするとスリップすることがあるので、なるべく避けましょう。

    坂道に気を付ける

    坂道では平坦な道よりも滑りやすくなっているので注意深く運転する必要があります。坂道を上る際には、平坦なところで助走をつけておき、アクセルを一定にして進みましょう。

    降雪や積雪の状況は地域や場所によって急変します。より安全な選択を心がけてください。

    5.積雪の種類別の運転のコツ

    新雪

    前述の通り、新雪(雪が積もったばかり)の道路では、歩道や側溝との境界線が見えにくいため、左寄りで走行するとタイヤが側溝にはまることがあります。そのため、中央寄りで走行する方が良いでしょう。

    圧縮路

    圧雪路(車が通行することで、雪が踏み固められた状態)では、路面が氷のようにツルツルした状態になっています。タイヤが滑ってしまうので、ゆっくりと走行することを心掛けてください。

    アイスバーン

    アイスバーンでは、スタッドレスタイヤを付けていても滑りやすく、事故が起こりやすくなります。特に、ブラックアイスバーンは「道路が濡れているだけ」に見えるので危険です。スピードを出しすぎないように気を付けましょう。

    ミラーバーンで車を発進させる際には、優しくブレーキを踏むようにしましょう。停止させる際には、早い段階でブレーキをかけて、ゆっくりと速度を落としていくようにしてください。

    ホワイトアウト

    視界が極端に悪くなるホワイトアウトの状態では、無理に走行を続けることは危険ですので、運転をなるべく控えること。まずはフォグランプ・リアフォグランプを点灯し、車が目立つ状態にすること。そして、他車の走行した跡を頼りにしながら、車を安全に停められる場所まで、ゆっくりと運転しましょう。そこで、吹雪や大雪が落ち着くまで待機するようにしてください。

    道路の種類に合わせて運転方法も工夫を

    道路の種類に合わせて、運転方法を工夫することも大切です。前述しましたが、上り坂の場合は、平坦な場所である程度の勢いをつけてから、アクセルの踏み込みを一定に保って進みましょう。また、上り坂途中での停止はなるべく避けるようにしてください。

    カーブの場合は、カーブ直前までしっかりと減速し、曲がるときになったらアクセルの踏み込みを一定に保ちながらハンドルを丁寧に操作させます。

    トンネルの出入口と交差点は、アイスバーンやミラーバーンが発生しやすいため、しっかりと減速しながら走行し、ブレーキやアクセル、ハンドルの操作を慎重に行いましょう。

    6.雪道の安全運転をサポートする便利アイテム

    以下は、雪道を運転する際に役立つ道具です。

    • 軍手・ゴム手袋:駐車場の雪かき、タイヤチェーンの取り付け作業などで活躍
    • スクレーパー(スノーブラシ):車に積もった雪を除去する道具(一方の先端部分がブラシ状、もう片方の先端部分が「氷を削り取る」ことが可能な形状)
    • 解氷スプレー:フロントガラスに付着した霜の除去などに有効な化学薬品が含まれたスプレー
    • 長靴:車の中に用意しておけば、周囲に雪が積もっていても作業が可能
    • スコップ:スタックして動けなくなった際、車の付近に積もった雪を除去するために使用
    • 脱出用ラダー:スタックしたときに駆動輪と雪の間に挟み込み、脱出しやすくする道具(厚手の布などで代用できることもある)
    • ブースターケーブル:バッテリーが上がった場合に、ほかの車両から電気を分けてもらう際に使用

    これらの便利なアイテムは、カー用品店や一部のガソリンスタンド、ホームセンターなどで入手できます。寒冷地や降雪量の多い地域などでは、コンビニエンスストアで購入できることもあります。なお、山間部を走行する際は、店舗が近くにないケースもあるので、事前に準備しておきましょう。

    7.雪の中で駐車するとき気を付けること

    ワイパーブレードは立てておく

    雪道で駐車をする際には、ワイパーブレードは立てておくようにしましょう。ワイパーがフロントガラスに接触したままの状態だと、ワイパーが張り付いて、動かなくなってしまうおそれがあるからです。また、凍った状態のワイパーを無理に動かすと、曲がってしまう可能性も考えられます。
    ワイパーやウインドウォッシャー液は寒冷地用に交換しておくのが望ましいです。

    サイドブレーキが凍結することがある

    そのほか、冬期は駐車をする際にサイドブレーキを引いたままにすると凍結して解除できなくなる可能性があります。平坦な場所を選んで、マニュアル車ならギアを「1速」か「バック」に、オートマチック車なら「P」にいれて駐車してください。

    マフラーに雪が詰まらないよう、バックする時は注意する

    また、マフラーの出口が雪で塞がってしまうと、排気ガスが車内に侵入し、最悪の場合、一酸化炭素中毒を引き起こすこともあります。そのためバックする時は、後方に雪の塊がないか等を確認しながら行うようにしましょう。また、駐車時には定期的にマフラーの周囲を除雪するようにしてください。

    8.雪にタイヤが埋まって出られなくなったら

    タイヤが雪にはまってしまったときは、車をゆっくり前後に動かして、タイヤ周辺の雪を少しずつ固めていきます。このとき、車を動かす以外にも、自分の足で雪を踏み固めても構いません。しっかり雪が固まったことを確認できたら、アクセルを踏み込み、脱出をしましょう。空転すると、さらに脱出が難しくなるため、アクセルはゆっくりと慎重に操作するようにしてください。

    もし空転してしまった場合には、砂箱にある砂を路上にまくのが効果的です。砂箱は豪雪地帯の路肩に設置されており、自由に使えるものです。脱出用ラダーや厚手の布などを駆動輪と雪の間に挟み込むと、脱出しやすくなることもあります。

    それでも脱出が難しい場合は、保険会社やJAFに連絡し、ロードサービスを呼びましょう。なお、救援を待っているときは、車の後方に三角表示板や発炎筒を置くのを忘れずに行ってください。

    9.運転後にすべきこと

    雪道に散布されていることが多い「凍結抑制剤(塩化ナトリウムなど)」や「融雪剤(塩化カルシウムなど)」に含まれる塩分は、錆を発生させる原因になります。

    雪道での運転をすると、これらの物質が車体に付着するケースがあるため、錆を防止するために定期的に洗車を行いましょう。特に「車両の下回り」やタイヤの周囲を覆っている「タイヤハウス」、ボディ部分の「フェンダー」は念入りに洗うことをおすすめします。

    10.監修コメント

    雪道を走る際は、自分の車の特性を把握しておくことも重要です。
    2WD(2輪駆動)車にはFF(前輪駆動)車とFR(後輪駆動)車があり、雪道を走る際の注意点がやや異なります。4WD(4輪駆動)車は雪道に強いといわれていますが、重い分、下り坂で制動距離が長くなる傾向がありです。
    車によっては「スノーモード」など、雪道の安全な運転をサポートする機能を備えていることもあります。使っていない意外と便利な機能を知るきっかけになるかもしれないので、雪道を走る際は、事前に自分の車の取り扱い説明書を読み直してみることをおすすめします。

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    井口 豪
    監修
    井口 豪(いのくち たけし)

    特定行政書士、法務ライター。タウン誌編集部や自動車雑誌編集部勤務を経て、2004年にフリーライターに転身。自動車関連、ファッション、スポーツ、ライフスタイル、医療、環境アセスメント、各界インタビューなど、幅広い分野で取材・執筆活動を展開する。約20年にわたりフリーライターとして活動した経験と人脈を生かし、「行政書士いのくち法務事務所」を運営。自動車関連手続き、許認可申請、入管申請取次、補助金申請代行、遺言作成のサポート、相続手続きなど法務のほか、執筆業も手掛ける。

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