歩道がない道路の左側に、白線で区画されたスペースを目にすることがあります。これは「路側帯」と呼ばれるものです。同様に道路の左側に設けられたスペースには「路肩」もありますが、路側帯と路肩の違いは意外とわかりづらいものです。
そこで、本記事では路側帯と路肩の違い、それぞれの通行や駐停車のルールをわかりやすく解説します。
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1.路側帯とは?
路側帯とは、歩行者の通行のために車道に設けられた帯状の区画のことです。歩道のない道路や歩道に接していない側の道路に設けられ、進行方向の左側端に「車道外側線」と呼ばれる白線で区画されています。
路側帯について道路交通法第2条3の4で次のように定義されています。
「歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によって区画されたものをいう」
歩道のない道路に設けられる路側帯は、歩行者の安全を守る役割を果たしています。住宅街などの狭い道路でしばしば見られますが、路側帯がある場所を車で走行するときは歩行者に十分注意することが大切です。
2.路肩との違いは?
路側帯と同じように道路の左側に設けられているものに「路肩」があります。路側帯と路肩は混同しやすいですが、それぞれ設置の目的や交通ルールが異なり、定められている法律も違います。路側帯は道路交通法で定められていますが、路肩は道路構造令第2条の12で次のように定義されています。
「道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために、車道、歩道、自転車道又は自転車歩行者道に接続して設けられる帯状の道路の部分をいう」
路側帯が歩行者を守るために設けられている区画なのに対して、路肩は構造物を守るために設置されています。国土交通省によると路肩は次のような4つの機能を担っています。
- 車道や歩道、自転車道などに接続し、道路の主要な構造物を保護する
- 故障車など非常時の停車スペースとし、事故と交通の混乱を防止する
- 側方余裕として交通の安全性と快適性に寄与する
- 歩道などのない道路では歩行者などの通行部分となる
路側帯と路肩はどうやって見分ける?
路側帯と路肩の見分け方のポイントは「歩道があるかないか」です。路側帯が設けられるのは歩道がない道路のため、区画されたエリアが歩道に接している場合は路肩になります。
また、路側帯や路肩と車道を区別するために、道路上には車道外側線という白線が引かれています。歩道がない場所に車道外側線が引かれている場合は区画された場所は路側帯となり、歩道として扱われます。車道外側線が引かれている場所に歩道がある場合は路肩となり、区画された場所は車道として扱われます。
3.路側帯の種類と通行ルールは?
それでは、車や自転車は路側帯を通行できるのでしょうか? 実は、車道外側線の引き方によって、路側帯はいくつかの種類に分かれます。いずれも事故や道路の損壊などの緊急時を除いて車での通行は道路交通法第17条で禁止されていますが、駐停車できるものや、歩行者のみ通行できるものなどがあります。違いを見てみましょう。
一般的な路側帯
一般的な路側帯は白の実線1本で区画されています。歩行者と自転車などの軽車両以外は、緊急時や道路外の施設などに入るための横断、駐停車以外には通行することができません。バイクや原付も通行禁止です。なお、近年しばしば話題になる遠隔操作型の小型自動配送ロボットや移動用小型車は、道路交通法の改正で2023年4月から基準を満たしたものは運送車両ではなく歩行者と同等の扱いになりました。このため、路側帯を通行することができます。
自動車の駐停車に関しては、路側帯の幅が0.75mを超える場合は路側帯に入っての駐停車が可能です。車両の左側に0.75m以上、右側に3.5m以上のスペースを開けて駐停車します。車体が白線の上に乗っても構いません。路側帯の幅が0.75m以下の場合は路側帯に入ることはできず、白線の外側に駐停車します。
【路側帯の幅が0.75mを超える場合】
【路側帯の幅が0.75m以下の場合】
歩行者専用路側帯
白の実線2本で区画されている場合は、歩行者専用路側帯です。通行できるのは歩行者のみで、車、バイク、自転車など車両は通行できません。路側帯の中は駐停車も禁止です。白線上も路側帯ですので、駐停車する場合は白線を踏まないようにしましょう。
駐停車禁止路側帯
白の実線と破線で区画されている場合は、駐停車禁止路側帯です。一般的な路側帯と同様に、通行できるのは歩行者、自転車などの軽車両です。駐停車禁止路側帯では、路側帯の幅が0.75mを超えていても駐停車できません。停める場合は白線の外側に沿って駐停車します。
高速道路では緊急時以外は駐停車禁止
路側帯は、そもそも歩行者が通行しない高速道路にも設置されています。これは、路側帯は歩行者の通行のために設置される他に、路肩と同様に「車道の効用を保つため」という目的があるからです。故障や事故で走行できなくなった車の避難場所や、渋滞時の緊急車両の走行場所として使用されます。
緊急時を除いて、高速道路では道路交通法で路側帯や路肩の通行や駐停車が禁止されています。後続車両が追突する危険がありますので、事故や故障でやむを得ず停車する場合は十分な幅がある場所に停め、ハザードランプや三角表示板、発煙筒などで後続車に合図しなければいけません。
4.路肩の通行ルールは?
基本的に、警察車両や救急車などの緊急自動車以外は車で路肩を通行することはできません。車両制限令第9条で「歩道、自転車道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない道路を通行する自動車は、その車輪が路肩にはみ出してはならない」と定められています。ただし、道路の損傷や交通事故など緊急時には通行可能です。
路肩に駐停車するときは、歩道がない場合は車道の左側端に沿って他の交通の妨害にならないように停めます。歩道がある場合は白線の外側に駐停車します。
また、駐車禁止、駐停車禁止の場所や、道路標示で駐停車の方法が指定されている場所もあります。駐停車禁止場所についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
5.監修コメント
年末年始やお盆、GWなど大型連休中の高速道路では、高い確率で大渋滞が発生します。そんな時、ガラガラの路側帯をすり抜けて行く車やバイクを目にすることがあります。
本記事をお読みになられた皆様はお分かりだと思いますが、それは違反行為になります。普通車の場合、違反点数2点、反則金9000円となります。
大型連休中の高速道路では、ヘリコプターを使用した大規模な取締りが行われることもあります。せっかくの楽しいレジャーを台無しにしないためにも、ルールを守って走行するようにしましょう。